建築家と家を建てるなら、施工の希望は遠慮なく伝えよう

建前から3週間が過ぎ、順調に進む新築工事。

外壁のガルバリウム施工前の下地の仕上げと、土間から庭に出る大きなガラス戸も取り付けられ、外周りは完成形に向かっている感じ。

そんな中、休憩のお茶出しに行った時のこと。
玄関屋根になる「木枠」が取り付けられているのが見えた。

近づいて見上げてみると…。

 

あれ?屋根ちっちゃくない?

 

屋根の真下に立ってシゲシゲと眺める。
やっぱり、ちっちゃい気がする。

戻って設計図面で確認してみると、玄関扉から屋根の庇(ひさし)先端まで85cmくらい。
外壁より玄関扉が少し奥まっており、外壁に取り付けられた屋根の木枠はその分短く出来ている。

だから、ちっちゃく見えたのかもしれない。

にしても、この大きさでは玄関先で雨に濡れそうじゃない?

 

あ!忘れてたーーーー!

 

東京で暮らした家の玄関屋根が小さく、雨の日の外出帰りは、鍵を開ける間に背中がよく濡れていたんだった。

宅配のお兄さんが荷物を運んできてくれた時も、同じだった。

住んでいた時は、雨が降るたび「玄関屋根の小さいのはヤダ!」って思っていたのに、なんで忘れていたんだろーーー。

 

その思いは勿論、設計士さんに伝えてなかったし、設計図が出来た時も屋根の大きさまで気が回らず。
実際に屋根の木枠がついてしまってから思い出すというマヌケさ。

 

あーーーー、どうしよう。

 

屋根の小ささがすごく気になる。
けど、ここまで作ってくれた棟梁に「もっと大きくして~(作り直して)」とは言いづらい。

というより、変更するには

設計士さん→現場監督→棟梁

の順を踏まねばならぬ…。

んーーー、ますます言いづらい。どうして今頃??って思われそう。

 

とはいえ、これから何十年も付き合う玄関。
妥協で過ごせる話でもないし。モジモジモジ…。

勇気を振り絞って設計士さんに電話をすると、

「大きくはないですが、都会にはよくあるサイズで、そんなに濡れないと思いますけど」

との回答。

でも、でも。
と、納得しない私に代替案を提示してくれました。

① 玄関扉を内側に下げて屋根を大きく(庇先10cm程度伸長)する。デメリットは玄関内側スペースがその分狭くなる。
② もっと大きい屋根にする場合は、別の素材で外壁からワイヤーで支える形となる。デメリットは作り直す手間と材料費でコストアップする。

 

んーーー。どっちも困る。

 

答えの出ない私に、次の打ち合わせの時に現場で再確認して決めることに。

設計事務所は少し離れているので、設計士さんとの日頃のやりとりは電話とLINE。

でも、建築現場の隣に住んでるから、現場監督と棟梁には毎日会える。
なので、待ちきれず、現場に行って屋根と玄関について相談をしてみた。

不安に思っていることを正直に伝え、設計士さんからの提案だとどんな風になるか現場で教えていただく。

仕事中の手を止めてもらう形で相談したというのに、現場監督も棟梁も面倒くさい顔ひとつせず、場所を示しながら丁寧に解説してくれる。

 

そこで分かったことは…。

 

暮らしていく中での利便性や、風雨にさらされた場合の耐久性を考慮した、玄関扉の位置、屋根の大きさであったこと。
何気なく配置されたのではない、ち密に計算された設計であること。
それは、玄関だけにとどまらず、家全体がそうであること。

細部に至るまで考えられた、言い換えるとすごく手間のかかる設計なのだそう。
ゆえに、この設計は、どの工務店でもできる仕事ではなく、やりたがらない業者も結構いる。

と、現場監督は笑って教えてくれた。

そうだったんだ。知らなかったなーーー。

 

苦笑いする現場監督の話は、設計を依頼したわが家にとって、すごく嬉しい情報。

頼んでよかった!!

建ち上がる前から満足度が上がる。

週末の打ち合わせで設計士さんと相談することになってるけど、玄関の位置と屋根のサイズ、これでいいのかもしれない。

家づくりって図面だけではわからないことが多い。
工事が進む中で疑問がわくことや、イメージと違うこともしばしば。

そんな時は遠慮なく思いを伝えた方がいい。

疑問を解決する中で、よりよい落としドコロが探れることもあるし。
全部の希望は叶わないこともあるけれど、風通しの良いコミュニケーションが「家づくりの満足感」になることは間違いない。

あー、相談してよかった!!

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