ワレンベルグ症候群のリハビリ自主トレメニュー

リハビリテーション総合実施計画書に基づき、病室のベッド上でリハビリを始めた2日目。
PT(理学療法士)さんから「明日からお休みなんで」と告げられる。

当直の先生を除き、ほとんどの先生が年末年始の休暇に入るらしく。
年内のリハビリは26日(金)まで、年始は5日(月)からと。

世間はもっと年末ギリギリまで働くのに、病院の年末年始って随分早いのね。

ん?
てことは、9日間もリハビリなしってことですか?
マジで?
その間、ほったらかし?

オットのリハビリはほとんど始まってないに等しいんですけど、このまま年明けまでジッと入院していろと?

ウソでしょーーーーーーっ!

オットが脳梗塞になったと知ってから、まだ数日しか経ってない。
気持ちの整理も、状況の把握も、これからどうなっていくのかも全くわからないなかで、対処してくれるはずの先生たちが1週間以上もいなくなるなんて。

不安で仕方ないんですけどーーーーーー(涙)

 

泣きを入れる間もなくPTさんから「自主トレーニング」と書かれたA4用紙4枚の「宿題」が。

1.足首・足指の運動:100回1セット
2.膝を伸ばす運動:20回1セット(仰向けで)
3.腹筋の運動:20回1セット
4.脚上げ運動:左右それぞれ20回1セット
5.脚を開く運動:20回1セット
6.お尻上げ運動:20回1セット
7.膝を伸ばす運動:30回1セット(座って)
8.太もも上げ運動:左右交互に30回1セット(座って)

この2日間やったものと同じメニューがイラスト付きでまとめられ、「お休みの間、自主トレしてくださいね」と笑顔で渡される。

しばらくしてST(言語療法士)さんも病室にやって来た。

こちらは、ジェスチャーによる口頭での「宿題」伝達のみ。

「おでこに手を当てて、ギュッとおでこを押し出し、それを手で反対に押し返すように」
「持続と反発の2つの動きを意識して、朝夕5回3セットやってみてください」
「出来るようになったら5セットに増やして、喉の筋力がつきますから」

簡単そうだけど覚えられない。
さっきPTさんにもらった自主トレメニューの余白にササッとメモる。

メモってから思った。

 

これだけですか?

 

オットはまだ水1滴も飲めないまま唾液を吐きだす日々。
絶食と喉の渇きに耐えて、もう10日あまり。
食欲があり胃腸に問題のない人間が、飲むことも食べることも出来ないなんて、こんなに辛いことはない。

もちろん、脳梗塞の後遺症でオットよりもっとつらい経験をされている方もたくさんいらっしゃることは理解している。
命があっただけでもよかったと思った時も確かにあった。
でも、オットと私にとって「おいしいね」と言い合えない日々は、たまらなく辛い。

それだけにSTさんの宿題は物足りなかった。

もう少し飲み込み機能に効きそうな運動はないの?
9日間もリハビリを受けられない期間があるのに、こんな程度の自主トレでいいの?

毎日オットに何もしてあげられないのが歯がゆく、脳梗塞の診断時に言い渡された「もしかしたら胃瘻(いろう)になるかも」の不安が頭をもたげ、わたしの焦りはMAXになっていた。

けど、当のオットはそんな風に思っていないのか「了解しました」と穏やかな表情で答える。

のちに、この時オットは「(嚥下機能が)なんとなく治りそうな気がする」と思っていたのだと話してくれた。

わたしの目には何の変化の兆しも見えなかったけど。

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