顔面けいれんの手術を終え、ICU(集中治療室)からHCU(高度治療室)へ。

面会まで、パブリックスペースで待っていると、看護士さんが迎えに来て下さった。

オットはICU(集中治療室)からHCU(高度治療室)に移され、麻酔も覚めているらしい。

エイチ、シー、ユー?

術前の説明では、術後ICUで経過を見ると聞かされていたのと、聞いたことのないHCUという単語に

ちょっと不安になったのを覚えている。

それでも、ICUではなくHCUにいるということは、意外と経過が良いから?と勝手に良い方に解釈して無理やり安心しようとしたりして。

後で聞くと、オットより緊急性の高い患者でICUがいっぱいだったとのこと。

そーゆーことね…。

 

ナースステーションに隣接したHCUはすごく広く、オットのベッドだけが部屋の真ん中にぽつん。
窓越しにドクターや看護士さんの姿が見えてチョット安心した。

半日ぶりにオットと対面。

手術着にオバサンのナイトキャップみたいな帽子をかぶり、おどけながら手術室に入っていったオットとは全く別の姿。
ベッドに横たわったオットは、術後の処置で頭に包帯がグルグルと巻かれ、痛々しい。しかも包帯がまぶたのあたりまで巻かれているせいで、目も開けづらく表情がよく分からなかった。

「おつかれさま」

すっかり病人風情になって帰ってきたオットの姿に戸惑って、そんな風に声をかけたように思う。
正確には覚えていない。そして、オットがどう答えたのかも。

術後の疲れと、完全に覚め切っていない麻酔のせいなのか、グッタリしている感じだった。
すごく辛そうにしているのが伝わって、心配で心配で仕方なかった。

ほどなくすると、看護士さんが夕食を運んでくれた。

「食べられたら食べてくださいね」

トレーにあった食事は何だったか覚えていないけど、牛乳とミカンがあって、ひとまずオットに「牛乳飲んでみる?」と勧めてみた。

さすがに丸一日食事をしていなかったから空腹だったのだろう、オットは「うん」と。

オットをベッドごと起こして、ストローを刺した牛乳を渡すと、しんどそうながらも飲んでみようと口に運んだ。

すると、

「げほっ、げほっ、げほっ!」

激しくむせ返って一口すら飲めなかった。
開頭手術のすぐあとだけに無理だったか…。余計にしんどくなってしまったオットが可哀想だった。

空腹感を何としてあげたかったけど、それ以上にオットを苦しめていたのが頭痛。
開頭手術をしたのだから、痛いのは当たり前だろうけど、その痛がり方が半端ない。

手術前の心の準備をはるかに超えた痛み止めも効かない頭痛で、早く楽になれることを祈るしかなかった。

主治医と執刀医が様子を見に来てくれた時に、牛乳が飲めなかったことを報告すると

「この手術の後は、しばらくは嚥下機能が低下することもあるから」

と、説明したでしょ?と特に問題視せず。
たしかに術前のリスク説明時に聞いていた話、と私もオットも納得。

それよりも今はこの頭痛なんとかしてあげて!の方が勝って、牛乳が飲めなかったことをそれ以上追及する警戒感は抱かなかった。

なにより、焦らなくても大丈夫!の含みを持たせた医師との会話に、それ以上の不安も感じなかったから。

でも、後日、この牛乳が飲めなかったことが、合併症の脳梗塞の第一症状であったことを知ることになる。

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