術後の合併症、それがワレンベルグ症候群だった
オットがこの病気になって「ワレンベルグ症候群」(延髄外側症候群)という言葉を、はじめて聞いた。
「延髄に発症した脳梗塞のこと」をそういうらしい。
「延髄」すら聞いたことがあるような、ないような。そして、延髄が脳のどのあたりなのかも皆目見当がつかなかった。
延髄は、あたまを断面でとらえると、ちょうど耳のあたり。
オットは左側の耳の後ろの開頭手術を受け、その近辺で脳梗塞が発症した。ゆえに、オットのワレンベルグ症候群の病症は右半身に出ている。
そのため感覚マヒがあった右手で保冷剤を受け取ったオットは温度が分からず、看護士さんに「これ冷たくないですよ」となった。
一般的に「ワレンベルグ症候群」には
・めまい
・眼振
・嚥下障害
・味覚障害
・温痛覚障害
があるとされ、オットにもほぼこの障害が当てはまる。
唯一、味覚障害は発症当初からあったかなかったか分からずじまい。
嚥下障害で「飲む」ことも「食べる」ことも出来なかったから、確認もできなかった。
ただ、のちに嚥下障害を克服できた時、味覚に違和感はなく、おそらく当初から大丈夫だったのではと思う。
元バーテンダーで食いしん坊のオットから「味覚」がなくなってしまったら…と思うと、本当にゾッとする。
もちろん、「食べられる」のが大前提だけど。
オットの病状を聞いて以降、わたしは深夜までネットで出来る限りの情報を集めまくった。
なにしろ「脳梗塞」そのものが、漠然としてよく分からず、とにかく不安だった。
オットの身に何が起こって、これからどうなるのか…。
中年も過ぎれば「生活習慣病」に気をつけなければと思っていても、実際に自分の身に起こってみないことには、所詮「他人事」。
で、突然そうなってみて、慌てた。
ネットは本当にありがたい。
時間や場所に関係なく、知りたいことを瞬時に調べることが出来る。
脳梗塞も、延髄も、ワレンベルグ症候群が何なのかも。
そしてネットで一番ありがたかったのは、同じ病気を患った方の「ブログ」の存在。
ワレンベルグ症候群の同じ患者と言っても、後遺症の出方、克服までの道のり、感じ方は人それぞれ。
性別も年齢も発症した状況も異なり、病状がまったく同じことは決してない。
けれど、学術的にこういうものだという情報からは分かりえないリアルな現実が、ブログからはダイレクトに伝わる。
なってしまった以上、知りたいのは、そこだから。
でもオットの病状をふまえると、これは厳しい現実が待っているのかも…と、先々を憂いて辛くなるブログもあったりして、知りたいような、知りたくなかったような気持ちになった。
わたしは日頃の行動は大胆で無茶をすることが多いくせに、家族のこととなると事態を悲観的に捉える傾向があり、オットのことも例にもれず。
特にワレンベルグ症候群で克服しづらいのが「嚥下障害」のようで、いろんな方のリハビリの長い道のりが気になって仕方がなかった。
このまま、オットが飲むことも食べることも出来なかったら…。
嚥下障害では「唾液」すら飲み込むことが出来ず、口の中に唾液が溜まるたび吐き出すしかない。
ベッドから立ち上がることも出来ないうちは、枕元に受け用のコップと、ティッシュが欠かせなかった。
それが不思議と寝ている時は自然に飲み込めるようで、朝目覚めた時に口元が唾液でカペカペになっていることはなかったそう。
起きている時もそうできたらよかったのにね…。
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